2009年最初の旅は、静岡県伊豆半島にある修善寺からです。プライベートでも年間10回以上訪れる伊豆ですが、今回新たな発見が沢山ありました。その発見とは、「こだわり」!こだわりの技と味の旅です。修善寺温泉内にある修善寺彫りをなさっている鍵和田さんを訪ねました。温泉内に生えている竹を利用して、毛筆で書くように下書きもしないで一気に彫ります。こだわりは、字体!注文すれば、どのような字体でも紙に書くように彫ってくれます。簡単そうに見えますが、凄い技です!伊豆と言えば「わさび」!そのわさび料理にこだわった湯ヶ嶋温泉の白壁荘を訪ねました。ご覧下さい、わさび、わさび!全て、女将さんの発明品(?)です。わさび酒から始まり、パン、パスタ、寿司、鍋・・・全てわさび、わさびです!ネタがわさびをスライスしたにぎり寿司。歯ごたえといい、風味といい、美味い!ちなみにこの寿司、サビ抜きです。修善寺の虹の郷に、寄席などで見る「紙切り」をする店がありました。それも若い女性が・・・!中央の女性・水口さんです。水口さんのこだわりは、細かい描写で、そのために普通の紙切りで使うハサミより、はるかに小さいもの(爪切り位の)を使います。得意技は、似顔絵!どうですか?ちょっとサービスでかっこ良く切ってくれた?なんと伊豆の山奥で技術にこだわっているうちに長さ2mmという極小のネジを作ってしまったところがありました。携帯電話やゲーム機器、コンピューターなどに使われているそうです。左手に持ってる大きめのネジみたいなもの何に使うか分かりますか?なんと!人体に使うのだそうです。骨折した時などに骨と骨を止めたりする時に使います。この人体用のネジの仕上げは、全て手作業で行われていました。この手作業こそ、こだわり!日本人の良さだと思いました。長八美術館・・・後ろの絵、ただの絵ではないんです!筆ではなく、鏝(こて)で描いたんです。ここ伊豆では「なまこ壁」が多く見られ、それを作る職人が、左官屋さん。その左官師の技、つまり鏝で描いた入江長八の作品です。よく見ると立体的に漆喰がもられ、その上に色付けが行われています。職人気質が伝わる、こだわりの絵でした。伊豆の松崎町にある地元の食材、昔ながらの料理方にこだわった店・「鮎の茶屋」を訪ねました。写真は近くの川で捕れたモクズガニ!石臼と杵で、カニを生きたまま細かくなるまで自家製の味噌を入れながら潰します。そして目の細かいザルに移し、水を入れ濾(こ)します。その濾した汁を火にかけて出来上がり!カニの身と味噌のタンパク質が卵のようにフワッと汁の中で固まり、美味い!!!これが完成したカニ汁です。石臼で潰すことが肝心で、ミキサーでやるとカニの甲羅が粉状になり、ザラザラと食感が悪くなる。また、焼いたり、湯がいたりして食べたら、小さいカニなので大勢で食べられない。この料理方だとカニの甲羅以外全て食べられ、少量のカニでも大勢で食べる事が出来る・・・昔からの知恵です!塩などの調味料も加えない昔ながらのカニ汁、最高!伊豆の代表する野生動物に猪がいます。ここ鮎の茶屋では、ご主人が穫った猪しか出しません。それは、カニもそうですが自然から貰った命だからこそ無駄なく大切に料理して美味しく頂きたいと言うご主人の気持ちからだそうです。こだわりと言うか、何か大切な事を教わった気がしました。鮎の茶屋のご主人と女将さん。ありがとうございました!いや〜、こだわりの技と味を求めての旅、とても有意義な旅でした。今まで「こだわる」と聞くと、面倒だったり、贅沢だったり、あまり良い印象では無かったのですが、実は丁寧、大切、そして物や人に対する優しさと言う言葉を、今回の旅で連想するようになりました。もしかすると日本の文化は、「こだわる」から始まっているのではないか・・・今の時代、合理性や便利性ばかり求めて、その「こだわり」を忘れかけていないか・・・そんな事を考えさせられた、いい旅でした。これから伊豆半島の事を「こだわり半島」と呼ぼうかな!